日産リーフ40kWhはどんな性能か?
日産リーフにはバッテリー容量が40kWhと62kWhの2種類のモデルが用意されています。電気量で言うと1家庭(4人家族)が1日に消費する量がおおよそ20kWhと言われていますので、40kWhなら2日分、62kWhなら3日分という事になります。
リーフは全て前輪駆動の2WDモデルで、バッテリー容量40kWhはカタログ値の航続距離(WLTC)は314km、実際の航続距離(EPA)は246kmとなっています。
日産リーフは日産が10年以上かけて改良を続けてきた日本を代表するEVと言ってよいでしょう。しかしバッテリー容量が小さいモデルは遠出に向いていない、ましてやスキーなんて冬の電費性能が下がる時期の過酷な環境に向かうには適していないという声をあちこちで聞きますので、「本当にそうなのか?」という事をテストしてみました。
都心からアクセスのよい「みなかみ町」
今回選んだ場所は群馬県みなかみ町にある、「ノルン水上スキー場」。水上ICで高速を降りて3.5kmという、高速道路のICから比較的近い立地です。関越道練馬ICからなら、147kmの距離で、都心から人気のスキーエリアである沼田ICから2つ先のICです。
ノルン水上スキー場はトップシーズンの週末は24時の深夜まで営業しており、また都心から1時間半程度で到着するため、金曜日に仕事が終わった後、週末のナイターだけという楽しみ方もできます。
水上ICもスキー天国で、ノルン水上をはじめ、奥利根スノーパーク、水上高原スキーリゾート、藤原スキー場、宝台樹スキー場、ホワイトバレースキー場など沢山のスキー場があります。
日産リーフ40kWhでスキーに行ってきます!
今回はエレクトリックライフ編集部から近い狭山日高ICからスタートします。実際に走行している様子などは、このページトップの動画をご覧ください。
走行距離はおよそ126kmで、今回は以下の条件で行います。
- 日産リーフ40kWhを満充電で編集部付近からスタート
- 暖房温度は21℃に設定し、風量は常に「2」に設定。
- 高速道路は速度100km/hに設定した日産プロパイロット(自動運転)で走行
- スタッドレスタイヤを装着
- 2人乗車
- 「ECO」モードで走行
それでは、スタートしていきます。21時57分に狭山日高ICに入り高速走行に入ると外気温は4℃で、残り航続距離は221km。関越自動車道は新潟に向かう下り線は登りが続くため、これよりは電力を使うため、かなり航続距離は減ると思われます。
新潟にスキーに行くときなどは、関越トンネルの前で一度休憩を入れたいところです。しかし今回は手前の水上ICですので、休憩なしで行きたいと思います。場合によっては赤城高原SAでトイレ休憩や、40kWhバッテリーの場合、スキー場での電気使用を見込んで余裕を残しておくために充電するという事もあるかもしれません。
時速100kmで走行しているという事は、1時間ちょうどで赤城高原SAに到着することになります。まずは圏央道を走り、鶴ヶ島JCTで関越道に入り順調に走行します。
日産のプロパイロットいいですね。ハンドルは触れているだけ、アクセルペダルも踏んでいない運転は驚くほど楽。仕事終わりのドライブですのでとても助かります。
2月中旬の金曜日の夜、スキー場にも雪が沢山ある時期ですが、この時間帯はとても空いていて順調です。赤城高原SAを通過したところでちょうど100km。22時29分なのでちょうど1時間です。残り航続距離の目安が97kmですので、この時点で当初の航続距離目安より20km分ほど多く消費してしまっています。それだけ関越道の新潟方面は上り坂という事ですね。
ここから更に登っていきます。赤城高原SAを超えて2つ目の沼田ICでは、走行した距離112kmに対して、残りの航続可能距離が80kmとなりました。実際には12kmの道のりを電池残量7%分、距離にして17km分の電力消費で進んだことになります。
水上に到着しました。料金所を通過。狭山日高ICから水上ICまでは普通料金で3490円です。このICを出て、ノルン水上への登坂道路入り口のところでメーターを見ると、残りの航続可能距離が60km、電池残量26%となっています。時間は11時19分で外気温は-1℃。ここから更に登っていきます。
水上ICからノルン水上スキー場までは3.5km程度。急な上り坂を登っていきます。
ノルン水上スキー場のゲレンデすぐ脇にある第一駐車場に到着したのが、11時23分で、この時の電池残量は19%、残りの航続距離が42kmとなりました。水上ICからの急な登り坂で、7%を消費し、航続距離では18km分も消費しています。これは、先ほど赤城高原SAから沼田ICまでの上り走行距離と同じくらい電池を消費したことになります。ここまでの走行距離は合計で132kmとなりました。
スキー場自体はあと30分程度でクローズしてしまいます。今回はスキー場に行けるのかというテストで、夜の少しでも過酷な時間に車を走らせたかったのでこの時間に来ました。今日はこのまま下って、宿泊先に向かいたいと思います。
ところで、ここまで21℃設定の暖房をかけっぱなしで来ておりますが、非常に快適です。いつも思うんですが、朝出かける時、リーフの電源をONにしてから暖房が温まるまでの時間が異様に速いと感じます。ガソリン車とは比べ物にならないほど、あったかい空気が出るまでのスピードが圧倒的に速いです。
下りで見たEVの雪道での安全性!
さて、ここまでずっと「登り」ばかりでしたので、電費性能は非常に悪くなっていましたが、ここからはその逆の下りとなります。ノルンに来るまでのあの急な傾斜を下るのであれば、走行よりも充電が勝って、残り航続距離は増えるはずですので、見ていきましょう。
-2℃はスキー場にとってはそれほど寒くない方ですが、日中天気も良かったこともあり、道路に雪はないものの、道路は凍結しています。
ブレーキの踏み方によっては滑ってしまいますが、ここで電気自動車ならではの「ワンペダルドライブ」による雪道での走行性の高さが発揮されました。日産リーフはe-Pedalと呼ばれる走行モードが設定できて、これはアクセルペダルだけで走行するというものです。これによりブレーキは殆ど踏みません。実はここまで来るのにブレーキは一度も踏んでおりません。
e-Pedalに設定しておくと、ガソリン車でいう強烈なエンジンブレーキがかかったような状態になり、最後はピタッと止まってしまいます。この時に発電もしていて再度電池に蓄電されるため、回生ブレーキとも呼ばれています。このブレーキのかけ方も電子制御になっているため、ガソリン車のオートマでエンジンブレーキをかけるようなショックはなく、スムーズに調整してくれます。
これは雪道では非常に効果的であることが分かりました。別の日に雪道での走行テストなども行ったのですが、雪道ではかなり有効であることが分かりました。
さて、宿泊先に到着したのが、23時37分で、ノルン水上の駐車場で19%だった電池は21%へ回復、42kmだった残りの航続距離は48kmへと回復しました。ノルンからこの宿泊先までの道のりがおよそ5kmでしたので、この区間で6km回復したので、実際には3.5㎞+5kmで、8.5km走行したことになり、60kmから48㎞まで12km分航続距離目安が減り、電池残量は26%から21%へと5%減ったという事です。
みなかみ町から狭山日高ICへの帰り道
今度は帰り道です。行きの下り線はかなりの登りだっただけに、帰りの関越道上り東京方面は下り坂となり、電費は良くなるはずです。
午後2:20分に宿泊先をスタートします。電池残量20%、残り48kmです。途中の赤城高原SAにて充電しようと思います。みなかみ町の道の駅(水紀行)には無料のEV充電スポットもあります。SAやPAの急速充電器はいつ埋まるかわかりませんので、本来なら高速道路に乗る前に充電しておきたいですが、今回はあえて赤城高原SAにします。
日産のアプリを見ると、ちょうど今充電している人が居るみたいですが、すでに20分くらい経過しているようなので、着いた頃には居ないでしょう。この場合、充電待ちの人が他にもいるかもしれないので、赤城高原SAの手前でまた確認して、充電器を使われていたら、さらに先のPAの充電器に変更するなど臨機応変に変えていきます。しかし今回は混んでいても赤城高原SAを使います。
という事で充電残量11%、残り航続距離27kmで赤城高原SAに到着しました。
赤城高原までの道のりは24km程度でしたので、下りの分3km分節約した形です。ここの急速充電器は40kW級になります。チャージを開始すると、349V、97Aで充電がはじまりましたので、およそ34kW程度の出力が出ています。
30分後、電池残量は11% → 59%に回復し、航続距離の残りも27km → 144kmまで回復しました。ここからおよそ100kmくらいの道のりで、下り坂という事もあり問題ないでしょう。エアコンはいらないのですが検証もあるため、21℃風量「2」はキープしています。
再度出発し、オートパイロットもONにして引き続き100km/h巡行で狭山日高ICを目指します。途中速度が90km/hになる程度の渋滞はありましたが、目立った渋滞はなく、15時15分に赤城高原SAを出発して、16時21分に到着しました。
電池残量は15%で残り航続距離は39kmとなっていますので、102km走行して、105km分の電池を消費していますから、多少の消費はあったものの、ほぼ表示通りという事になります。下り坂なのでもう少し良くなっているのではないかと予想していましたが、そうでもありませんでした。
日産リーフ40kWhでも十分旅に出れます
今後、またあちこち旅に出てその電費などもお伝えできればと思いますが、普段EPAサイクルで満充電当たり250km程度しか走行できない電気自動車でも旅はできます。今後EVがさらに普及してきて充電スタンドの混雑は懸念されますが、現在では高速道路のサービスエリアだけでなく、道の駅やスーパー、コンビニ、公共施設、そして日産ディーラーなど充電スタンドはあちこちにあります。
今回は「冬」というEVにとっては苦手なシーズンではあるものの、雪上やアイスバーンでのワンペダルドライブの効果は非常に良く、車内の暖気が早いEVは、航続距離の低下を除けば、冬にも高い走行性能を発揮すると言えます。
レアな遠出は電費が高い!
日頃は、ものすごく安い電費で過ごしているため、ガソリン車と比べるとエネルギー料金については、1/6くらいになっているのですが、このようなたまに遠出するときの電費は非常に悪くなります。例えば今回は、1回だけ充電しましたが、30分で1,650円かかります。赤城SAで充電した分が117km分ですから、ガソリンと比較すると2022年のガソリン代が1Lで165円くらいなので、165円分だと、11kmしか走らない事になります。これだとガソリン車とあまり変わらない電費で、電気自動車にとっては非常に高額になります。
たまにしか使わないので、充電カードも維持費が最もかからないZESP3のシンプルプランなので、最も高い電気料金になっています。日産のZESP3カードはカードでタッチするだけなので、すぐに充電が開始できますが、月額500円かかっています。カード無しプランでも利用料金は同じになるので、月額がかからない点ではZESP3よりも良いのですが、いちいちネット上からパスワードを取得する手続きなどを踏まないといけないと思うと、維持費払ってZESP3を選びました。
この辺り、イオンのワオンカードでできるみたいに、Paypayやクレジットカードでタッチするだけでも出来るようにしてほしいものです。
いずれにせよ普段は全く使わない急速充電器ですが、このように遠出の際には必需品ですので、今後のインフラ拡充に期待したいところです。