本格的に商用車EV時代へ!12月21日発売!
三菱自動車は、日本の多くの企業が利用しているワンボックスタイプの商用軽自動車を電気自動車(EV)にした「ミニキャブEV」の新バージョンを全国の系列販売店から12月21日(木)に発売することを発表しました。2023JAPAN MOBILITY SHOWでも展示され、間もなく販売とされていました。現在軽商用ミニバンとしては国産メーカーでは唯一のEVという事になります。
軽商用EVの実績は12年でスペックも向上
街中をよく走っている軽商用自動車のフォルムそのままで、中身は電気自動車であるため、気づいていない人も多いですが、三菱自動車では軽商用EVは2023年の段階で1万3千台の販売実績があります。主に法人向けの販売でり、発売当初は実証実験や提携した法人への販売と、どこの販売店でも気軽に購入できるようなものではなかったため、中小企業などにはあまり普及していないものでした。
バッテリ容量と航続距離が向上
ミニバンタイプの軽商用自動車は、運送業であれば、配送センターからのラスト1マイルをカバーする車両として街中や住宅街の細い路地などを走行し、1日の走行距離はおおよそ10km~30kmほどです。2011年に発売されたi-MiEVの技術を利用したミニキャブMiEVは、搭載バッテリが10.5kWhと16.0kWhで、それぞれ実用遣いでは、おおよそ50km、90km程度となっていました。
新型ミニキャブEVでは、20kWhのバッテリを搭載し、航続距離もWLTCモードで180kmとなっていますから、実用では110km~140 km程度の利用が可能ではないかと予想されます。
充電時間はあまり気にしなくて良い!
EV未経験の人は、充電時間を気にしがちですが、実はEVの充電は「ながら充電」のため、あまり気にする必要はありません。これだけの距離を走れるのであれば、1日の仕事で利用するには十分です。営業所に戻ってきた場合には、200V、15Aの普通充電で営業終了後の時間にゆっくり充電します。翌朝にはバッテリ満タンでスタートできます。(公式サイトでは、普通充電では0から100%になるまでの時間は7.5時間となっています。)
急速充電に対応していても、使わない運用を!
ミニキャブEVは急速充電にも対応してますが、できれば急速充電器はあまり使いたくないものです。長距離を走って、帰りのバッテリが無い場合は急速充電器を利用しますが、そうでない場合はバッテリの寿命を考えても、なるべく普通充電することがおすすめです。普通充電の目安は1時間におよそ15km~20km程度の航続距離の追加が可能ですが、急速充電なら30分で50km~60km分の航続距離分の充電が可能です※。
しかし、20kWhという比較的容量の少ないバッテリを搭載しているため、大容量バッテリより充電スピードは全体で遅くなり、充電コストは悪くなります。それだけでなく、急速充電器はバッテリに高負荷を与えるためバッテリ寿命に影響を及ぼします。
なにより、急速充電器のような大電流を扱う設備を利用することは環境負荷も大きくなります。
※充電時間の目安は、あくまで当サイトが同様のスペックの車両で充電を行った際のものです。実際にはいくらかの前後がありますので、充電を考える場合の目安としてください。
V2H対応で、災害時に会社に電気を戻せる!
ミニキャブEVはV2H(Vehicle to Home:車両から自宅へ)に対応であるため、災害時などに停電した場合などに車両に充電されている電力を会社に戻して利用可能です。電力が長期にわたり復旧できない場合には、ミニキャブEVで電力が復旧しているエリアの急速充電器に向かい、充電し会社に電力を届けるために「電力を汲みに行く」事ができます。
ミニキャブ EVでV2H対応にするためには、急速充電オプションを搭載する必要があります。急速充電器は使わないという運用だとしても、V2Hを利用するためには必要になります。災害時利用を考えるなら急速充電オプションは必須という事になります。
気になる価格帯
メーカー希望小売価格は2,431,000円~2,486,000円となっています。2シーター、または貨物室に折り畳みシートを付けた4シーターとで価格が大きく変わります。
もちろん補助金利用可能!
2023年11月現在で、国が用意している電気自動車購入補助金はまだまだ潤沢にあるようで、終了見込み時期が2024年1月下旬~2月中旬ごろとなっています。まだ来年度(令和6年度)の補助金については確定はしていないものの増額が予定されているため、法人での利用も可能であるため、イニシャルコストの高いEV普及への後押しとなります。
現行のミニキャブミーブについては、次世代自動車センターから44万9千円が支給されていますが、eKクロスEVなど20kWhの電力を搭載しているものであれば55万円の補助が出ていることから、おそらくこれと同額程度が支給されるのではないかと予想されます。
所在地の地方自治体の補助金が用意されていれば、その金額を更に受けることができます。
令和6年はいよいよ軽商用車EV戦争?
2024年には、ホンダが軽商用EVの発売をすでに発表していて、JAPAN MOBILITY SHOWでは、SUZUKIも同型のEVを展示し、発売日は未定としていますが、後れを取らないように準備を進めているに違いありません。
ダイハツなども人気のハイジェットのBEV(バッテリーEV)の展示を行っていたことから、これらもリリースされてくることが予想されます。2024年は軽商用EVがいよいよ普及していく年かもしれません。