2023年モデルのテスラModel SとXの受注スタート
いよいよ日本市場でもテスラのフラグシップモデルであるModel SとModel Xの正式受注がスタートしました。公式サイトでは、「今すぐ注文」のボタンが登場し、デザインのカスタマイズが可能になっています。
Model S、Xともにベースは2種類
今回のモデルS、モデルXともにベースは「ディアルモーターAWD」と「トライモーターAWD」の2種類となっていて、それぞれ価格は以下の通りです。
- ディアルモーターAWD ¥1,296.9万円
- トライモーターAWD ¥1596.9万円
Model X
- ディアルモーターAWD ¥1,446.9万円
- トライモーターAWD ¥1,669.9万円
どちらのモデルも標準的なステアリングと話題のヨークステアリングのどちらにするかチョイスができるようになっています。
どちらも2023年5月中旬の段階で2023年10月中旬からの納車となっています。
全世界的に左ハンドルに統一
日本市場とイギリス市場にとってとても残念なのが右ハンドル仕様の設定がなく、全て左ハンドル仕様になっているところです。しかもこれは納期を早めるために当初左ハンドルをリリースし、生産に余裕ができたら工場レイアウトを変更して右ハンドル仕様に対応するというものではなく、そもそもこのシリーズでは今後も右ハンドル仕様を生産する予定はないという事もはっきりと発表されています。
日本での完全自動運転は当分先になることを意味している
今回のフラグシップモデルを左ハンドル使用のみにしたということは、日本では電気自動車の普及は非常に緩やかなスピードで進んでいて、おそらくテスラ側としても日本市場でModel SやModel Xの需要は余り見込めていないということを意味しています。それはやはり日本市場でModel Yが予想以上に売れていない事も今回の結果になっています。
そして、これは日本での完全自動運転(FSD)は今回のModel SやModel Xでは達成されないことも意味しています。すでに自動運転の開発の遅れが指摘され、米国市場などでもイーロンマスクへの失望の声が高まって来ているのも事実です。日本の道路は狭い上に車線が引かれていない道路も多く、そもそもデータの収集も不十分な状態です。このように、まだまだ日本の道路事情をテスラ側も把握できていないため、Model3やModel Yよりも販売台数が少なくなると予想されているモデルを、右ハンドル仕様にする生産工程を追加するメリットはテスラ側にとって極めて低くなるわけです。
Model3の時には話題性も高く、また大幅な値下げなどを行うなどのインパクトもあり、納車台数を増やすことができたわけですが、ほぼ大きさが変わっただけのModel Yのインパクトは非常に薄かったといえます。このような結果もテスラ側にとって右ハンドル仕様を諦めた要因の一つです。
それでも、他車と比べて先進性の高い車であることは変わりありませんが、さすがにModelSやModelXのコスト感で行くなら、メルセデスやBMWなどの電気自動車という選択肢も出てくるわけです。今後、日本市場でのテスラの活動としては、Model3やModelYなどの販売数を伸ばし、同時にスーパーチャージャーの設置やサービスセンターの設置などによりサポート面を充実させて、日本市場で更に左側通行と狭い道路での情報収集をしていくことになるでしょう。
テスラ車に不便は似合わない
今回の左ハンドル仕様は、わかりやすいほどテスラが右ハンドル市場を切り捨てた形になります。簡単に言ってしまえば今回の車はテスラのコアなファンにだけ対応したものになります。日常使いで便利になる車というよりは、たまにドライブする車と言えます。これでは、テスラの思想とも反したものとなってしまっています。当たり前ですが、日本は右ハンドル用の様々な日常的なサービスが用意されています。パーキングチケット、ドライブスルー、その他乗車したまま受けるサービスは日本に多くあります。
脱炭素やクリーンなエネルギー利用を掲げるテスラがリリースする車両なら、ユーザーがその車両を使って快適であることが最優先で、その結果クリーンなエネルギー活用が広がり、安全性の向上がついてくるからこそ、そのような社会が実現していきます。
不便になってしまうため、使う用途を限っていたのでは、利用頻度も低くなり本末転倒です。その国の道路事情に合わせるというのは、今までの高級車と違い、先進性が高く、環境改善を目指す車であればあるほど最低限合わせなければいけない要素の1つになります。
今後には期待したい
とても残念な今回のModel SとModel Xの日本市場での注文再開でしたが、それでも今のところ、先進性の高いEVである事には変わりありません。Model3のモデルチェンジや新型の低価格車両のリリースなども噂されているため、今後の日本市場での展開に期待したいところです。そのためには、IT後進国の日本では、ユーザーへのサポート体制の充実が更に重要になってきます。
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