火曜日 , 4月 23 2024

もはや軽を超えた快適さをもたらす日産サクラ

軽自動車がこんなにも快適になるのか?

日産が長年リーフで培ってきた電気自動車の技術と、i-MiEVで軽自動車EVの開発に力を入れてきた三菱との共同開発によって誕生した日産サクラ三菱eKクロスEV。日本の道路事情やライフスタイルにあった使い勝手の良い軽自動車は人気カテゴリとなっていて、いままでも軽のEVが登場したら購入を検討したいという声が多く聞かれていました。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

カタログだけでも購入したくなるようなスペックと前評判でしたが、今回いよいよ試乗することができました。今回もいつもお世話になっている埼玉日産自動車狭山店にお邪魔しました。ここは周辺に食事するところがいくつもあるので、リーフの充電、点検や整備、パーツ交換などの際に車を預けて食事にでかけられるのでとても良いんですよね。ネット上などを見るとディーラーによってはまだEVに否定的なところなどもあるようですから、EVに力を入れている店舗が近くにあって本当に良かったと思います。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

早速試乗です。色はソルベブルー1色のものですが、窓枠の黒からCピラーの黒に続いてリアウインドにつながるラインがいい感じですね。もっとカッコいいのがルーフがブラックの2トーンのモデル。日産リーフもこの2トーンがかなりかっこいいですね。サクラはブロッサムピンクとブラック、ホワイトとチタニウムグレーの2トーンを見たかったですが、散々写真で見て比較になったので実車は1色のものでよかったかもしれません。暁サンライズカッパーもいい色なんですが、リーフやアリアで見慣れてしまったせいか小さい車に暁サンライズカッパーは色のパワーが強すぎるかも?

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

充電ポートは右後方1箇所に急速充電と普通充電がまとめられています。アリアは普通と急速が左右に別れていますが、できればこのように1箇所にまとまっている方が迷わなくて良いですね。後述しますが充電はものすごい重要なので、サクラを検討中の方やすでに発注した方は絶対に読んでください!

インテリアがとてもいいです!

従来の軽自動車感を脱出した、新鮮な感じのインテリアのデザインがとてもいい!!アリアにもあったゴールドのラインが一直線に横に伸びていて、このアクセントがとても美しくなっています。インフォテイメントシステムは、センターにあるものが日産リーフと同じデザインのNISSAN CONECT対応の純正ナビです。この車を購入してEVの良さを引き出すには、絶対に日産コネクトには加入をおすすめします。EVにはこのコネクトサービスが必需品です(詳細はページ下部にNissan Connectについての詳細を載せています)。ここをケチるくらないなら、ハイブリットやガソリンの軽自動車を検討してください。しかし、後述しますがここに残念な事も待ち構えています。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

リーフではアナログだったスピードメーターは、全て液晶のデジタルパネルに変わりました。この部分は最も先進性を演出している部分になっています。車両の状況やバッテリ残量、予測走行距離、e-PedalのON/OFFなど必要な情報が表示されます。プロパイロットを搭載した場合にも、その状況がスピードメーター下に表示されます。シフトレバーはコンパクトでDへの切り替えも楽で、Rへの切り替え誤動作防止などもしっかり考えられています。その周辺の空調コントロールはタッチ式になっていて、ボタンの突起がなく、スッキリしたデザインに仕上がっています。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

シフトレバーをパネル側にコンパクトにまとめ、運転席と助手席の間の足元に空間をとってあるため、足元もとても広く感じます。最近軽自動車でこのタイプが多くなってきていますが、シフトレバー下にはUSB Type-CとType-Aが1つずつあり、その横にも引き出し式の小物入れがついています。引き出すとおしゃれなワンポイントがあるので、是非見てください。更にその下の足元空間のところの小物入れも視界から見えにくい位置で、手の届く収納として使いやすそうです。助手席のグローブボックスは2段になっていて、上段は引き出しタイプで物入れに、下段はよくあるグローブボックスのように手前に倒れて開くタイプ。ここには車検証やマニュアルを入れておきます。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

リアシートも広い!

軽自動車で長距離4名での走行っていうのはあまり考えにくいですが、それでも長い距離乗れるくらい後部座席が広い!EV専用のプラットフォームだけあって、平らなフロアで天井も高く、リクライニングの調整もできるため、リアシートにはくつろげる空間が作れます。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

リアシートを広々とした場合の荷室の広さは下の写真になります。それでも最低限の荷物の収納スペースは確保されています。通常は下の写真よりもリアシートのリクライニングがより直角に近いため、もう少し荷物が入ります。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

シートはスライドして、より前に出すことで荷室を広く取ることができるため、4人乗りのスペースを確保しつつも、十分な荷物も運べる広さを確保できます(下写真)。これだけ荷室をとってもリアシートの足元は確保されています。作りもシンプルでシートアレンジがしやすく使いやすいと感じます。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

もはや軽自動車では無い走りの性能!

まず、スペックを確認しておきます。運用するにあたり最低限知っておいてほしい数値が以下の部分です。

  • バッテリー容量:20kWh
  • 最大充電出力:30kW
  • 一充電航続距離:180km(WLTC)
  • 実際の航続距離:約130km
  • 最大トルク:195 N・m

車を走らせて、まず一番に感じるのはEVならではの加速力がしっかりと残されているため、軽自動車としては信じられないパワーを感じます。EVは電力とモーターでペダルを踏むと遅延なく電流が送り込まれるため、アクセルに直結した加速とパワーを感じることができます。スペックの最大トルクは195 N・m。これは、同クラスの軽自動車「デイズ」と比較すると、ノーマルなもので60 N・m、加速力を高めたターボ車で100 N・mと、歴然とした差が生まれています。

これは、もう走りの感覚が乗用車クラスであるため、街なかをキビキビ走り、登っていかなかった急坂もスイスイ登っていく感覚があるため、軽自動車に乗っているという感覚が薄れていきます。コーナーでアクセルを踏んでも、EV独特の低重心が横のふらつきをしっかり抑えてくれます。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

e-Pedal Stepはもう1段階ほしい!

さて、EVならではのe-Pedalですが、サクラに搭載されているのはリーフとは違い「e-Pedal Step」というもので、アクセルを離すと、感覚的には制御された強いブレーキがかかる感覚で、最後にオートマチック(AT)車のようなクリープ現象がかかるものがあります。十分な減速がされた後に、最後に軽くブレーキに踏み変えるといった乗り方になります。

はじめてEVを乗る方は、AT車から乗り換える場合このブレーキ感覚になれるだけなので、あまり違和感無いでしょうが、リーフに乗っている私からみると「中途半端!」。だったらアクセルを離した段階で最後までブレーキを踏まずに停止してほい。そうすることでブレーキとの踏み間違いも少なくなり、長い距離の運転もかなり楽になります。つまり、リーフのe-Pedalは子供の飛び出しや前方車両の急停車でも無い限り「ブレーキを踏まない」のです。やはりアクセルとブレーキの踏み変えというのは慣れているから気づきませんが、リーフに乗って初めて「結構疲れていたんだ」と感じます。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

日産さん、次の電気自動車で、どうしてもe-Pedal Stepにするなら、e-PedalはOFFとSTEPとONの3段階にしてほしいと思います。リーフでもなぜか駐車するときだけe-Pedalを切るという人がいるようですが、アクセルON / OFFの従来のe-Pedalに慣れると、どんな状況でも圧倒的に運転しやすくなるのは間違いありません。

実走行距離130kmは短いか?

サクラのカタログ値ではWLTCという世界統一規格の全く当てにならない航続距離の指標を使っています。そのため、当サイトが保有する日産リーフを半年間検証し、エアコンを通常に使い高速道路や一般道を日常的に使っての値と、WLTC値との比較をサクラのカタログ値に適用した独自の実走行距離の計算では、実走行距離は約130km前後になります。

これが日常使いでは全く問題なく使える距離だと言えるのが、よく乗る人で年間12,000km程度、月に1,000km程度と言われています。これだと1ヶ月30日として割り算すれば1日に走る距離は33km程度です。週末にたくさん走る人でも、100km程度でしょうか。

充電は基本的に自宅に帰ってきてもう今日は使わないと思ったら、自宅の壁やカーポートに設置した充電器で接続し、電力が安い深夜帯から充電が開始されるようにタイマーセットで充電を始めるのが一般的です。これで朝にはまた満タン(実際には80〜90%までしか充電しません)でスタートします。寝ている間に充電完了ということです。

イオンなどスーパーマーケットには低価格な急速充電器が設置されているため、自宅の電力契約によっては、そっちの急速充電器で充電したほうが安い場合もありますので、その場合は買い物中の30分間で充電すると言うのも良いでしょう。

日産サクラ Nissan Sakura エレクトリックライフ electriclife.jp

サクラの右後方にある充電ポートには、普通充電用と急速充電(CHAdeMO:チャデモ規格)の2つのポートがついています。出先ではCHAdeMOが殆どで、自宅は設備によってCHAdeMO若しくは普通充電となります。

通常の軽自動車と比べた電費(燃費)は圧倒的有利

さて、気になる電費ですが、日産サクラは従来の軽自動車と比べてどうでしょうか?デイズと比較すると、デイズのカタログ値が1リットルで21kmほど走るようです。実走行距離として、16km前後ですから、これと比較しましょう。

分かりやすくサクラが160円でどれくらい走るか?

電費(燃費)はガソリン価格を1リットル160円と仮定して比較するとわかりやすいと思います。結論から申し上げれば、自宅充電の場合、デイズが16kmに対して、サクラは34km〜90kmくらい走ります。だいぶ違いますね。燃料費が本当に安くなります。

しかしなぜこんなに幅があるかと言うと、これは自宅の電力契約によって大きく変わってくるからです。34kmというのは1kWhあたり30円という高めの電気料金で計算した場合です。深夜電力の最安値価格は12.58円というのがあって、これで計算すると、83km程度になります。実は企業などで高圧契約では市場連動型などもあり、これだともっと電気代を安くできるため、160円で150km以上とかも達成可能になります。一般家庭では、最初に示したような価格になります。

急速充電器は割高

急速充電器を使う場合は、充電カードなどを作りますが、遠出をたまにしかない人にとっては充電カードは必要ありません。なくてもスマホがあれば、その場でIDを発行して充電が可能です。しかし、日産を含め全国に設置されているeMP(eモビリティパワー)が設置している急速充電器の基本的な料金は超割高。

その料金は30分間で1,500円(税別)です。

どれくらい割高なのかというと、サクラはどんなに頑張っても充電出力が30kWまでしか出ません。充電器の電流値が良くても85A程度しか出ないため、この30分でチャージできる距離が最大でも97km程度。実際にはもう少し少なくなると思いますので、160円分に換算すると良くても10kmと言うことになりガソリン車の方が割安です。充電カードの契約をより良いものにしても30分あたりは825円程度なので、ガソリン車と同じくらいでしょうか。

イオンのWAON急速充電は別格

ただし、イオンに設置されたWAON支払いの急速充電スポットは別格で、30分間で300円。安くても電力が低いと意味ないのですが、最近電流量を調整してきているとはいえ、サクラ自体が電流値を抑えるので、70km前後は充電できることを事を考えると、160円あたりでは、37km分と自宅充電と高めの電気契約の自宅充電程度を実現しています。

イオン EVステーション エレクトリックライフ

【超重要】バッテリと充放電について

EVといえば、この充電についてが最も重要です。購入する方は絶対に持ってほしい知識です。まず、サクラのバッテリー容量は20kWhです。そして最大充電出力は30kWです。日産サクラの最大の特徴と言ってよいのがこのバッテリと充放電の部分です。日産の車両には全てついているV2Hという機能です。先にも述べたとおり、自宅に充電設備は必須です。これがなけばハイブリット車のほうが便利でしょう。自宅充電ができることで、新しい便利なライフスタイルが手に入ります。

V2H 充放電器 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
ニチコン製 V2H充放電設備 コネクタはCHAdeMO

サクラから自宅へ電力が戻せるV2H

このV2Hは「Vechicle to Home(車から自宅へ)」という充放電システムのことです。せっかくサクラが自宅に電力を戻せるので、これは絶対にセットです。戸建て4人住まいの家庭が1年間を通して電力の平均をとると、1日に利用する電力量は自宅の広さにもよりますが、一般的には18kWh前後と言われています。つまり、サクラには丸々1日家庭の電力をカバーするだけの蓄電池としての役割も担っていることになります。災害時には電力が供給され、今後予想される電力逼迫時期には、ピーク時にサクラからの電力を使うことで突然の停電などにも備えられます。

この充放電設備V2Hを導入するには本体80万円程度、工事費20万円程度で100万円程度の費用がかかります。しかし令和4年にはこの充放電設備にも多くの補助金が適用でき、40万円ほどで設置が可能になります。簡易的な充電設備の工事でも15万〜25万円程度かかるため、向こう20年の日本の電力事情を考えると、自宅に電気を戻す設備として、あと少しプラスして備えるチャンスが来ているともいえます。

V2Hについては車両購入時に一緒に申し込みが可能です。

ガソリンスタンドに行かなくなる

自宅充電ができれば、急速充電に行かなくなります。ガソリンスタンドに行かなくなるというのは本当に楽です。EVはエンジンがついていませんので、オイル交換やフィルタの交換などエンジン関連の消耗品がないため、これらのコストもかかりません。

ここまで完璧なのに、ちょっと残念な部分

Nissan Connectの契約とアプリ

さて、ここまでは素晴らしかったのですが、機能は十分なのに、その契約内容が残念なNissan Connectです。初めて日産EVを持つなら良いのですが、すでに日産車で契約していて2台目として持つ場合など、それぞれ車ごとに契約し、しかも1つのアプリで複数台管理できないので、いちいちログアウトし、車両ごとのIDでログインしなければなりません。

Siri Nissan Connect Electriclife.jp

それぞれ基本的に利用者が決まっていて、たまに乗り換えるくらいであれば良いかもしれませんが、家族で保有している場合は、他の人が利用する場合もあるかもしれません。1車両に1つの契約は仕方ないとしても、複数のアカウントを1つのアプリで管理できれば更に便利です。

サクラを買う人買わない人

サクラはどんな人に良いか?戸建ての人なら誰でもおすすめです。自宅で充放電ができる人ということですから集合住宅でも目の前が駐車場などで充電器の設置が許可されていればその人にもおすすめです。オール電化の方なら電気代が安い時間帯があるので買わない理由が見当たりません!ただしV2Hは必須という事になります。

サクラは安い!

実際の乗り出し価格と補助金は?

では、実際の価格はどれくらいかというと、本体価格は239万円。これに諸経費やここまで紹介してきた最低限必要なオプションなどを入れると280万円位になります。これに令和3年度補正のCEV補助金が55万円利用できます。V2H充放電もサクラには必需品ですし、出先や緊急時の充電用ケーブルも備えが必要と考え、必要なものすべてをまとめると以下のようになります。

  • 本体価格:239万円
  • オプション・諸経費:40万円
  • V2H(nichicon VCG-666CN7):80万円
  • 工事費:20~30万円

合計すると、389万円になります。そして、これに補助金を適用すると、

  • 令和3年補正CEV補助金:55万円
  • V2H本体補助金:39.9万円
  • V2H工事費補助金:30万円(最大40万円)

上記の例で行くと、合計124.9万円の補助が受け取れます。このほかに地方自治体からの補助金がある場合には、そちらも併せて受け取れます。

差し引くと389万円 - 124.9万円でおよそ264万円となります。

正直、自宅に20kWhの蓄電池が搭載できて、軽自動車の車両としても使えることを考えたら、費用対効果は抜群です。日々のランニングコストもガソリン車と比べたら格段に安く、税金も格段に安いことから、買わない理由が見当たりません。

おそらくこれが便利に使える妥協点も考えた最低金額となり、インフォテイメントシステムをケチってちょっと不便に使ったり、自宅を普通充電などにして、蓄電池としての機能を使わないなら、デイズやノートなどハイブリッドにした方がよいのではないでしょうか。

という事で、新しいライフスタイルを手に入れる、超お勧めの一台という事です!

 

関連リンク

 

About Mayasa

EV導入を、車両だけでなく自宅環境の整備なども併せて、強く推進していきたい思います。

Check Also

JMS2023に行ってきた!(次世代自動車編)

自動車業界は今「モビリティ」として、新しい移動の楽しみを模索しています。各社どんな未来を見せてくれるのか楽しみです!まずは、JAPANA MOBILITY SHOW2023(JMS2023)の次世代自動車展編です。