大好きなスバル、初めてのEV
私はスバル車が好きで、ずっとインプレッサに乗っていました。WRX仕様車なんかも乗ってまして、低重心の水平対向エンジンはスバルの走りを特徴づけるものになっています。いろいろなEVに試乗して思うのが、電池が下に敷き詰められていて、しっかりとした安定感はどことなくスバルの車にのっているような感覚を受けることもあります。
そして、今回試乗するスバル初の完全電気自動車(EV)「ソルテラ(SOLTERRA)」は、トヨタと共同開発し、全く同じ車をトヨタも「bZ4X」という名前でリリース。しかしトヨタ側は販売は行っておらず、リースとカーシェアのみ。スバルソルテラは販売を行っています。
今回は埼玉スバル大宮店にお邪魔しました。埼玉県内では現在3か所でソルテラの試乗ができるそうです。飛び込みにもかかわらず直ぐに車両を用意してくださり、営業の方もとても良い方で、本当に感謝です。
これはスバル車ではなくトヨタ車
さて、ぱっと見で思うのが、外観から受ける印象としてスバル感が無い・・・。強いて言えばフロントマスクのデザインが六角形でスバルっぽくなった・・・・、いや、ヘッドライトの形状が変わりbZ4XよりもTOYOTA RAV4に近づいた感じすらしてしまう。
横から見たら、もはやこのシャープなデザインにスバル感はゼロ。
リアから見たらbZ4Xとどこも変わりません。ロゴマークと名前だけで全く一緒です。そしてここにもスバル感は全くありません。
インフォテイメントとコクピット
さて、乗ってみると、こちらもbZ4Xとは全く何も変わらない室内。前方に飛び出したスピードメーターのパネルは7インチ液晶画面で、視界の高さにあって表示内容は見やすくなりましたが、前方視野はかなり悪くなっています。
インフォテイメントシステムは12.3インチの大型ディスプレイでとても見やすくなっています。これはbZ4Xと中身も全く一緒になっています。ダイヤルシフトも全く一緒で、その周辺にはドライブモードの変更や、eAxelペダルドライブ(回生ブレーキが利いてブレーキを踏まなくても大幅に減速し、最後停止するときのみブレーキを踏む)モードへの切り替えボタン、X-MODEと呼ばれる悪路を走る際に、泥や雪道の度合いに合わせて走行性能を調整するモードボタン、ECO、NORMAL、POWERモードを切り替えるボタンなどが配置されています。そして、非接触充電ボックスでは携帯電話の充電が可能で、USB TYPE-Aのポートも搭載されています。わざわざ蓋をする必要はないですが何故か蓋がついてます。その充電ボックス内の形状に凹凸があるためホコリもたまりそうです。あ、だから蓋がついているのかな・・・。
センターコンソールの収納は必要十分。携帯電話の非接触充電ボックスの下にもバックなどを置ける収納スペースがあります。
シートやミラーのポジションを記憶し、ドライバーごとに変更できるボタンが運転席のドアノブ前に配置されています。乗り込む前にドアを開いた段階で押すことでシート調整が終わった段階で乗り込めます。
リアシートはとても広い。後部座席用のUSB Type-Cのポートとリアシート用のシートヒーターも左右それぞれついています。ソルテラの場合、このシートヒーターが3段階に調整が可能になっています。中央部もほぼフラットになっていて、TOYOTAと共同開発のEV専用プラットフォームをスバルでは「e-スバルグローバルプラットフォーム」と呼んでいて、これはTOYOTAのe-TNGAと同じものを使っています。電気系統の配線が通っている分、中央部分に少し段差があり、完全フラットではありません。
横から見るとこんな感じ。この広さはとてもいいですね。bZ4Xも全く一緒で広々としているわけですが、この辺りはとてもいい感じ。
100Vコンセントも搭載されていて、1500Wまで対応しているので、自宅で使っている家電は何でも動きます。キャンプで電子レンジとか。
リアの荷室はbZ4X同様とても広くて使いやすそう。bZ4Xは荷室左側側面にJBLのスピーカーが搭載されていました。TOYOTAがJBLのスピーカーを採用しているのに対し、SUBARUはハーマンカードンのサラウンドシステムを搭載しているため、荷室左側面にはウーファーが内蔵されています。
リアシートが十分広いため、そのシートを倒せば荷室がフラットで更に広い奥行きになり、さらに多くの荷物を運べます。
走りの性能はどうか?
bZ4Xと基本は全く一緒であるため、基本スペックは変わらないものの、スバルは独自で走りのチューニングを変えているという事です。ここで基本スペックをおさらいしておきます。ソルテラは大きく分けるとFWDとAWDの2種類に分類されます。
▼FWD(2WD)モデル
- バッテリー容量:71.4kWh
- 満充電での航続距離:567km(WLTC)
- 実走行距離(推定):453km
▼AWD(4WD)モデル
- バッテリー容量:71.4kWh
- 満充電での航続距離:542km(WLTC)
- 実走行距離(推定):433km
実走行距離については、当社が電気自動車(リーフとテスラモデル3)のWLTC公表値と実走行時にクーラーやインフォテイメントシステムを動作させ、人や荷物を載せて走行して半年間の平均の差を計算し適用した形になりますので、あくまで目安としてお考えいただければと思いますが、かなり近い値になると思います。
今回はAWD(2モーター)モデルに試乗しました。
早速ドライブですが、ノーマルモードでの加速性能は、やはり日産リーフにすら劣る感じで、これはbZ4Xと変わらない印象でしたが、ソルテラにはAWD「Powerモード」が搭載されていて、このモードにしたとたん一気にEVらしい加速になります。100km/hまでの到達時間が7.6秒となっていて、bZ4Xも4WDなら7.7秒ですから、殆ど変わらなくなるようです。2WDのドライブモードは2段階だけとなっているようです。違う車種とはいえ、これで同じプラットフォームの2WDとAWDを乗り比べて、やはりAWDを買わないとSUVとEVにする意味がないなと感じます。
走行中の音声認識の呼び出しは「ハイ、スバル!」と言って窓を開けたり、音楽をかけたり、ナビの操作を行います。
運転支援システムに「アイサイト」なし
ここまで同じ車両スペック、形状なら、せめて運転支援システムはスバルの「アイサイト」を搭載してほしかった。もしアイサイトが付いていればそれだけでも十分購入の理由に値したのに、スバルと言えば「アイサイト」くらい今では水平対向よりも有名になった運転支援システムを搭載していないのです!。運転支援システムにはトヨタの「ADAS:Advanced Driver-Assistance System(先進運転支援システム)」が搭載されているのです。EV向けに適したアイサイトになっていないという事らしいのですが、もはやスバルの良さはどこにも入っていないということになりますか・・・。
ソルテラは良かったのか?
スバル、ソルテラはbZ4Xとどこまでも一緒で、外見は更にトヨタ車っぽくなっているという結論です。これをスバルの人に売らせているというのがなんだか辛い話。スバル大好きなだけに、この残念な車を売らなければいけないディーラーの方の心情をお察しします。トヨタは販売していないのに、スバルは販売しなきゃいけない・・・。
せめてアイサイトが搭載できていれば、それだけで一気にソルテラの価値は向上したに違いありません。
今後の「スバルEV」にお願いしたい事
やはりスバルらしさを出すにはスバル独自のプラットフォームを作ることが重要なんだと思います。是非インプレッサなどのセダンで、スバルらしさと高性能運転支援システム「アイサイト」にフルセルフドライブを搭載し、0-100km/s で2秒を切るようなテスラモデルSと勝負する車をリリースしてほしい!スバルフリークとして本当に切望している圧倒的に強い「スバルのEV」をお願いしたいところです。
ところで、埼玉スバル大宮店には、なんとSUBARU WRX STIのレース参戦車両の実車が展示されています。やっぱりインプレッサは最高にかっこいいです。2013年ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦した車両を買い取り展示しているようで、メカニックの方が埼玉スバルから派遣されていたようです。めちゃくちゃかっこいいですよ。
ずっと展示されているようなので、是非足を運んで見るのと同時にソルテラも体験してみてください。
関連リンク