水曜日 , 12月 11 2024

テスラモデル3から採用された新しいリラクタンスモーター

進化のスピードが速いEV(完全電気自動車)

電気自動車(EV)はモーターと電池で動く自動車です。従来の内燃機関を搭載したガソリン車とは全く異なる動力で動いています。現在、ガソリン車は通常の内燃機関と電気を合わせたハイブリット車(HV)へと進化を遂げ、その燃費性能などもあがっています。

EVはと言うと、主要部品であるモーターと電池の性能向上が進化のカギであり、日進月歩で進化しています。これらがEVでいう「電費」におおきくかかわってくるため、モーターについては極力電力を使わずに高い回転数を得られる高効率のモーター、電池であれば大容量、高出力、高速充電などを目指しています。

テスラモデル3ではモーターが大幅に進化

EV界をリードしているテスラモーターは、その名称の由来ともなっている二コラ・テスラが開発した交流の誘導モーターを採用しています。テスラのフラッグシップセダンである Model S やSUVであるModel X などに搭載されてきましたが、Model3 からは新しいモーターであるIPMsynRMというモーターに変更され、Model S や X も2019年頃からはこちらに変更しています。

従来の誘導モーターについて

少し前のModel Sにつかわれていたのが誘導モーターです。個体鉄シリンダーを軸に回転していて、バッテリーからの三相交流電流により、回転磁界(RMF)が発生し、その磁場により、シリンダー内に起電力(EMF)が発生し、個体鉄シリンダ―に流れた電流と磁界との相互作用により、フレミングの左手の法則に従って回転子に力がかかり回転がはじまります。

IPMSynRM ELECTRICLIFE.JP

誘導モーターの初動トルクは内燃機関を持つエンジン(ICエンジン)よりも性能が高いですが、より良いものに永久磁石モーター(PMモーター)があります。誘導モーターは磁場を発生させるために誘導電流が必要であるため、電気を使っていますが、この分のエネルギーを使わずにモーターを回転させるのがPMモーターです。

永久磁石(PM)モーターについて

回転子に磁石を設置し、誘導回転地場(RMF)を利用して軸が回転します。誘導電流が必要なく、トルクを発生させるために回転子の角度をずらすだけのエネルギーが必要になるだけです。始動時や加速が必要な時には少ないエネルギーで高いトルクを得ることができますが、高速走行しているときにはマイナス面が出てきてしまいます。

回転子には磁石がついているため、高速で回転している状態では、フレミングの右手の法則に従ってバッテリーから供給されている交流電流とは逆の方向に起電力(バックEMF)が発生してしまうのです。更に高速で回転する磁界には渦電流が発生しジュール熱が増加してしまうのです。

IPMSynRM ELECTRICLIFE.JP

同期リタクタンスモーター(SynRM)

テスラモデル3にも採用されているSynRM(同期リタクタンスモーター)はPMモーターのように初動トルクが高性能なのに、高速で走行した際のバックEMFの問題も解消されるため、高速でも性能が落ちずに高効率で走行が可能になりました。

既に使われていたIPMSynRMモーター

すでにトヨタのプリウスはIPMSynRMモーターを利用していました。プリウスはハイブリット車ですが、電気自動車にIPMSynRMモーターを採用したのはテスラです。プリウスとの大きな違いは磁石の配置によります。渦電流を抑え、モーターが過熱するのを防ぎ磁石の性能を落とさないようにしています。

このように電気自動車をより高効率に運用するために、モーターは大きく進化を続けています。今後もますますこの開発合戦は激化していく事でしょう。

用語の説明

  • RMF:回転地場の事で、三相交流電流が流れると発生する。
  • ICエンジン:Internal Combustion エンジンで内燃機関という意味。
  • EMF(ElectroMotive Force):起電力の事で、電流が流れること。
  • バックEMF:逆起電力。この場合モーターに供給している電圧の逆電圧がかかってしまいます。
  • PMモータ:モーターの回転子に永久磁石を使用したモータの事。回転子の表面に磁石を張り付けるSPM(Surface Permanent Magnet)と内部に埋め込むIPM(Interior Permanent Magnet)の2種類がある。
  • リラクタンス:鉄など強磁性のものの磁束に対する抵抗力。磁場の抵抗とも言います。

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EV導入を、車両だけでなく自宅環境の整備なども併せて、強く推進していきたい思います。

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