アリア、サクラの登場でリーフの販売も伸びる
今回紹介するのは日産リーフの優れているところというより、「アリア、サクラの残念な所」かもしれません。
日産が10年以上販売を続けているリーフは、日産が2022年現在発売している3つのEVの中でも乗用車セグメントになるため、サクラの購入検討者がもう少し大きい車として比較の末リーフにしたり、アリアを検討したが大きさや価格とのバランスでリーフにした人も多いため、コンスタントに月1,000~1,300台の販売台数があったものの、今年に入り1,500や1,700台を超えてくる月も見られるようになりました。
長年発売されているだけに「リーフ」の名前を知っている人は多くいますが、まじまじとリーフを見たことがある人はかなり少なく、リーフを間近で見た人の多くが口にするのが「リーフってこんなにデカいの?」ということです。私も購入するまで、街中を走る電気のコンパクトカーみたいなイメージがあったのですが、近くで見たら本当に大きい。全4,480mm、全幅1,790mm、全高1,560mmと3ナンバーの大きさで、数値上でもしっかりとした大きさだったわけです。
2022年9月値上げの報道
2022年に入り、3月にはマイナーチェンジを発表し、2022年5月には様々な商品の値上げが行われている中、リーフについては20万円近い値下げを行うなどして驚かせるものの、9月に入り原材料価格高騰の波がいよいよ押し寄せ、現在の価格での受注を9月22日で一旦終了し、今後発売再開後には値上げを行うとの事です。そして、マイナーチェンジなどは行われないようです。
圧倒的な運転のしやすさ「e-Pedal」
リーフには素晴らしいところが沢山ありますが、なかでもこの「e-Pedal」は従来のクリープ現象があるオートマの運転方法とは全く異なり、非常に運転がしやすくなります。
ブレーキペダルを使わなくなる
e-Pedalの最大の特徴が「ブレーキを使わずに運転する」という事です。e-Pedalモードで運転している時は出かけて帰ってくるまでの間1度もブレーキを踏まないという事が殆どです。このアクセルペダルだけで車を操作するワンペダルでのドライブは、ブレーキとの踏みかえが無いため、運転がものすごく楽になります。
運転時にアクセルを離すと、強く減速がはじまり、やがて停止するという動作になります。これは非常に安全性も体感することができます。
例えば赤信号などで停車するときには、アクセルを徐々に緩めていき、自分の好きな減速スピードにして、最後はアクセルを離せば止まるといった運用になります。減速時には回生ブレーキにより電力を発電し電池に充電していて、コンピュータ制御によりなめらかな停止動作も実現しています。
e-PedalをONにするには、シフトレバーの上にある「e-Pedal」のスイッチを手前に引くことで、ドライバー用のパネルに「e-Pedal」の青いボタンが表示されます。初期設定では、e-Pedalになっていないため、常にe-Pedal設定を記憶しておく設定にすることで、常にe-Pedalで利用できます。
サクラ、アリアは完全停止しない。
サクラ、アリアの非常に残念な所は、リーフに搭載されている「e-Pedal」が採用されていないところです。この2車種については「e-Pedal Step」という新しい方式になっていて、e-Pedalのように急激な減速は行われるものの、完全停止しないため、結局最後にはブレーキペダルを踏まないと完全に止まりません。
e-Pedalの魅力はワンペダルドライブで踏みかえがないところでしたが、「e-Pedal Step」その良さが失われてしまいました。なぜ、このようにしたのかを日産に聞いてみたところ、完全停止の際にブレーキを踏ませることで確実に停車させることと、リーフユーザーの声として、駐車するときにクリープ現象が起こらないと、低速で走らせながらブレーキで調整していくという乗り方ができないという事でした。駐車の度にe-Pedalを切って利用している人が多いとの事です。
しかし、それを言うなら駐車時も自分のアクセルの入れ具合で自由に進んでくれるほうが分かりやすく、正直聞かなくてもよい意見を聞いて、e-Pedalの良さを消してしまったのが、e-Pedal Stepだと言えます。
ガソリンエンジン車のクリープ現象
念のためここではガソリンエンジン車のクリープ現象の原理についても紹介しておきます。エンジンを搭載した車で発生するクリープ現象は、オートマ車特有の現象で、D(ドライブ)やR(リバース)に入れた際に、自動でトランスミッションを切り替えていく為に常に動力を伝え続けるためのトルクコンバーターを利用しているため、ブレーキを踏んでいなければ動き出してしまうというものです。エンジンがかかっている状態では、走行していない時でも常に低回転で動いているため、これをDやRレンジに入れれば、その低回転の動力が伝わります。
これがマニュアル車の場合は、運転手がクラッチを切ってギアとの接続を行い、エンジンの回転数を合わせていく事で動力を伝えるため、トルクコンバーターを利用していないためクリープは発生していません。
このように動力が伝わってしまうために仕方なく動いていたものですから、それに慣れているとはいえ、新しい運転体験を提供できるEVにわざわざクリープ現象を無理に付けなくてもいいんじゃないかと思います。
あっという間になれる「e-Pedal」
このように従来の運転の仕方と違うe-Pedalは新しい運転体験でもあり、また長距離運転の疲労軽減や下り坂での安全走行にもつながります。この話をすると、大抵「運転が難しい」とか「なれるのに時間がかかりそう」と言われますが、だれでも5分~10分程度乗ればあっという間になれてしまい、慣れた後は勝手に動いてしまう「クリープ現象」が怖くて仕方なくなります。
つまり、簡単に乗りなれてしまうということです。
次の日産EVでは、是非e-Pedalのみにしてほしいものです。100歩譲って、e-Pedalとe-Pedal Stepの切替ボタンをつけるようにしてほしいというところです。